NPO法人の税務上の取扱い
1.NPO法人に対する課税
(1)NPO法人はどのように課税されるか
株式会社など一般の法人では、法人の活動から生じるすべての所得に対して法人税、法人住民税(法人税割)及び事業税(以下、「法人税等」といいます。)が課税されます。
これに対して、NPO法人は、法人税法上の収益事業を行った場合に限り、収益事業から生じる所得に対して法人税等が課税されます。
つまり、収益事業を行っていない場合には法人税等が課税されることはありません。
また、収益事業の収支が均衡しているか赤字である場合には、収益事業を行っていても所得が生じていないため、法人税等は課税されませんが、法人税の確定申告は必要です。
(2)収益事業とは何か
法人税法上、収益事業とは、以下の業種のうち、継続して事業場を設けて行われるものをいいます。
1.物品販売業 2.不動産販売業 3.金銭貸付業 4.物品貸付業 5.不動産貸付業 6.製造業 7.通信業 8.運送業 9.倉庫業 10.請負業 11.印刷業 12.出版業 13.写真業 14.席貸業 15.旅館業 16.料理店業その他の飲食店業 17.周旋業 |
18.代理業 19.仲立業 20.問屋業 21.鉱業 22.土石採取業 23.浴場業 24.理容業 25.美容業 26.興行業 27.遊技所業 28.遊覧所業 29.医療保険業 30.技芸教授業 31.駐車場業 32.信用保証業 33.無体財産権の提供等を行う事業 34.労働者派遣業 |
収益事業かどうかは、上記に該当するかどうかで決まり、特定非営利活動促進法上の「特定非営利活動に係る事業」と「その他の事業」の区別とは関係ありません。
そのため、特定非営利活動に係る事業であっても「収益事業」に該当する場合には課税の対象となります。
(3)法人税以外の税法上有利な取扱いはあるか
①法人住民税(均等割)
NPO法人が収益事業を行っていない場合であっても、法人住民税(均等割)が原則として課税されます。
しかし、自治体によっては、期日までに申請書を提出することで法人住民税(均等割)の免除を受けられる場合があります。
②登録免許税
NPO法人の設立、主たる事務所の変更、役員の変更、合併、解散などNPO法人の各種登記には登録免許税は課されません。
③印紙税
NPO法人が発行する領収書には印紙税は課されませんが、請負に関する契約書等、一定の種類の契約書等には印紙の貼付が必要です。
④その他
自治体によっては、NPO法人について、固定資産税、不動産取得税、自動車税、自動車取得税等の減免措置がある場合があります。
2.認定NPO法人に対する課税
認定NPO法人となった場合でも、収益事業にのみ課税されることや、その他の税務上のメリットについてはNPO法人と同様です。
これに加えて、認定NPO法人となった場合には、寄附や遺贈を受ける場合に、寄附をする人や遺贈をする人について、税制上のメリットがあります。
また、認定NPO法人には、収益事業から収益事業以外の事業に対して金銭を支出した場合に、その金銭を寄附金とみなして一定限度まで収益事業の損金への算入を認める制度があります。
これを「みなし寄附金」といいます。
そのため、収益事業を行う場合であっても、みなし寄附金を活用することで課税の対象となる所得を減らすことが可能となります。